読書力を育てよう


6歳までのバイリンガル育児で大切なポイントが子どもを「本好き」に育てることです。本好きとバイリンガルは関係がないように思えますが、将来子どもを高度なバイリンガルに育てるためには絶対に欠かせない要素です。

言葉の教育については、親が子どもに与えられることには限界があります。子どもがある年齢になると、あるいは言語力が一定のレベルに達すると、その後の上達度合いは本人の学習能力や学習意欲にゆだねられるのです。そして、その時に子どもが本好きに育っているか否かが、学習の効率を大きく左右します。
バイリンガルの子どもは二カ国語の読み書きを身につけなければいけませんので、できるだけ早いうちに「読書力」を身につけることが望まれます。

言葉の力を向上させるのは読書力

一般的には、親が子どもに国語(日本語であれ英語であれ)を教えられるのは小学校レベルまでです。それ以上になると、言葉の力を向上させるには、子どもが自分の力で本を読み、自分の力で語彙を増やし、自分の力で文章を書く練習を繰り返す以外に方法がありません。
本好きに育っていれば、英語も日本語も「読書」を通じて子ども自身の力で限りなく向上させていくことができます。言葉の力は会話の積み重ねで伸びるものではなく、読書によって「語彙力」を増やすことで豊かになるものです。どれだけたくさんの言葉を知っていて、使いこなすことができるかが、読解力、作文力、思考力、創造力、表現力など言葉の力の向上に直結するわけです。
バイリンガル育児を実践していると、特に年齢が小さいうちは、「会話力」を中心に子どもの言葉の力を判断しがちです。しかし、長期的視野で子どもの教育を考える場合、「読書力」の育成にもっと目を向けることが大切です。

読書力は全ての学習の基礎となる

バイリンガルの子どもたちが現地の小学校で抱える問題が、読解力、作文力の不足です。ネイティブと変わらないレベルの英語を話せるにも関わらずESLクラスに入れられたというケースも少なくありません。
これは子どもに満足な「読書力」が身についていないことが原因で起こります。国語、算数、理科、社会、学校の勉強は全て文字を読み、文字で表現することで進みますので、読書力が弱い子は勉強についていけなくなるのです。
「うちの子は二カ国語がペラペラだから大丈夫」と、二カ国語を流暢に話せることに安心して読書力の育成を怠ると、子どもが小学校に入ってから勉強で苦労することになります。
読書が苦手という子は、本を集中して読むことができません。また、読んでも字面を追うだけで理解が深まらず、読み終わっても何が書いてあったのかさっぱり覚えてないのです。文章を書いても語彙力、文法力、表現力、構成力が不足しているために年齢に応じた水準に至りません。

本嫌いの子はイメージ力が不足している

本嫌いの子に共通する理由は「面倒くさい」「面白くない」「頭に入らない」というものです。なぜ本を楽しめないかというと、書かれている内容を自分の想像力を働かせてイメージすることができないからです。その結果、ストーリ理解や感情移入が深まらず本の世界の面白さを経験することができません。
現代社会は子どもたちの周囲に「映像」が氾濫しています。想像力を活動させてイメージするよりも、テレビ、マンガ、ゲームのように一見して内容が分かる映像メディアに子どもたちがどっぷりつかってしまっているのです。
映像の氾濫は子どもからイメージ力を奪い取ります。特に3歳までの幼い子どもを育てている家庭ではあまりテレビは見せないようにしましょう。その代わりにお母さんの声でお話や絵本の読み聞かせをしっかりと行いましょう。

家庭環境・生活習慣が読書力を決める

子どもに読書力を与えるには乳幼児期の家庭教育が大切です。というのも、小学校に上がる6歳頃には、本好きな子とそうでない子はすでにはっきりと分かれているのです。その時になって慌てて「本を読みなさい」と親が促してもなかなか思うようにはいきません。
読書力は教科書を通して学校の授業だけで身につくものではなく、家庭の言語環境や両親の子どもへの働きかけによってその土台と方向性が作られるのです。
バイリンガル育児中の家庭においては、子どもにしっかりとした母国語を与えることが言葉の教育の入り口です。小学校低学年までのお子さんを育てている家庭では、以下の3つを両親の母国語で実践するように心がけましょう。
1)豊かな語りかけを行う
2)お話をしてあげる
3)絵本の読み聞かせを行う
子どもの言語発達・バイリンガル育児・私立校受験についてのご質問、ご相談はTLC for Kids(593−1312)までご連絡ください。